蔡國強展スタッフコラム 第4回 火薬絵画制作秘話その1 

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第4回

火薬絵画制作秘話その1 
グランドギャラリーでの爆破制作

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蔡國強の代表的な作品といえば、何と言っても火薬を爆発させてその痕跡を画面に留める「火薬絵画」でしょう。今回の「帰去来」展で、蔡さんは5点の火薬絵画を制作しました。1点は美術館のグランドギャラリー(エントランス・ホール)に掲げられた縦8メートル、横24メートルの巨大な和紙の作品《夜桜》。そして、あとの4点は大画面のキャンバスの連作《人生四季》。いずれも観る者を圧倒するような迫力のある作品で、その爆破制作が美術館のグランドギャラリーで行われたと聞くと、誰もが驚くのです。

会場を下見に来た蔡さんから、「ここ(グランドギャラリー)がいいね。ここで爆発しましょう!」という言葉を聞いた時、「そ、そうですね。」と答えつつ、まさか、それが現実のことになるとは思いもよりませんでした。美術館の中で火薬を爆発させるなんて!!
使われていない倉庫や学校の体育館などにあたってみましたが、なかなか爆破制作ができる適当な場所は見つかりません。いよいよ、美術館内での制作について本格的に検討することになりました。ところが、消防署や神奈川県関係部署のご理解とご指導、ご協力によって美術館で火薬爆発の許可が下り、煙や万が一の事態から作品や人、建物を守る見通しも立って、なんと!不可能と思われた美術館内での爆破制作が実現することになったのでした。消防署や県に何度も足を運んで交渉にあたったベテラン学芸員N氏の活躍や施設管理のS氏を始め美術館全スタッフ一丸となった準備体制、そして、何よりも爆破のための火薬を調達し、制作現場に何日も立ち会ってくださった横浜地元の花火店のYさんのご協力なしには、実現できなかったことを申し添えておきましょう。
爆破制作のめどが立つと、ニューヨークの蔡スタジオから、制作に必要な材料や道具のリストが送られてきました。それぞれの材料の調達にも、語り尽くせないエピソードがあります。そのエピソードは、後日お話ししましょう。(沼田英子)

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会場下見をする蔡さん。ここで爆破制作をしようと思いを巡らせているのでしょうか。