石田尚志展 スタッフコラムvol.11 展覧会カタログ紹介

「石田尚志 渦まく光」展も最終日となりました。展覧会にご来場くださった皆様には、この場をお借りして心から御礼申し上げます。

さて、今回のコラムでは、展覧会に足を運ぶことが出来なかった方へのお知らせも兼ねて、担当学芸員の大澤紗蓉子より、石田尚志展カタログをご紹介いたします。

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今回、青幻舎さんより刊行している展覧会カタログは、石田さん初の大規模個展のカタログであると同時に、初の作品集にもなるよう制作しました。

112ページに及ぶカラーページには、展覧会に出品されている石田さんの代表作と新作を含めた27点の図版と解説、それ以外にパフォーマンスの記録写真などが掲載されています。作品図版は、映像からのスティル、ドローイングアニメーションの原画となる絵巻や絵画、各地での展示風景などから、選りすぐりのものを石田さんと選びました。特に、本来「動く絵画」である石田さんの映像表現の魅力が少しでも紙面上で伝わるように工夫したほか、大作《フーガの技法》や《部屋/形態》はオリジナルの16mmフィルムの画像も載せています。

そして、このカタログでぜひとも注目していただきたいのが、石田さんご自身が執筆されたエッセイ「東京論」です。「東京論」は、もともと石田さんが2008年に執筆し、『アフンルパル通信』という冊子で発表されたものです。このエッセイには、20代前半に石田さんが6年間従事した、害虫駆除の仕事を通して見た東京の姿、東京での体験が記されています。作品や制作については一切触れていないエッセイですが、ここには、石田尚志という一人の画家を理解するための大きな手がかりが詰め込まれているように思います。そんな思いもあって、今回のカタログでは「東京論」をカラーページに掲載しました。ちなみに、このエッセイに登場する殺虫剤散布用の噴霧器は、のちの石田作品において重要な役割を担い続けることになります(カタログをお持ちの方は「東京論」の次のページから始まる第3章「身体」の作品画像をご覧ください)。

このほか、カタログには、石田さんの処女作ともいえる1985年の油彩画《バベルの塔》から、最新の映像作品《渦巻く光》(2015)までを図版付きでまとめたほぼ全作品目録や、石田さんの作品発表歴を網羅した年表など、関連資料もとても充実しています。これらをカラーで掲載できなかったのは残念ですが、向後も石田さんの画業をたどるうえで貴重な資料となるよう、どれも気合いを入れて作成しました。こちらもぜひご注目ください!(気合いを入れ過ぎてしまったため、作品目録や年譜の文字が若干小さめになってしまったことはご容赦ください!)

横浜美術館での石田尚志展は5月31日で閉幕しますが、カタログは当館ミュージアムショップ(オンラインショップはこちら)にて引き続きお買い求めいただけます。美術館にお越しの際は、ぜひお手にとってご覧いただければ幸いです。

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カタログ編集会議の様子

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デザインを担当したWerkbundさんの事務所の壁にレイアウト全ページを貼りながらの作業でした

なお、「石田尚志 渦まく光」展は、2015年9月18日~10月25日に、沖縄県立博物館・美術館でも開催されます。

(大澤)