活動報告:石田尚志展関連ワークショップ「映像の光」

市民のアトリエでは、5月2日に石田尚志「渦まく光」展関連ワークショップ「映像の光」を開催しました。なんと石田尚志さん指導のもと映像制作を体験できるスペシャルな企画です。

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石田さんは、「ドローイング・アニメーション」という手法を用いて作品を制作しています。抽象的な線を少し描いては1コマずつ撮影することを繰り返して膨大な数の静止画を撮りため、それを編集して「動く絵」を創りだしています。ですが、この手法は、多くの時間、そしてさまざまなプロセスや機材が必要となるため、このワークショップでは、もう少し手軽に「動く絵」をつくることができる「キネカリ」に挑戦しました。キネカリは、カメラを使ってフィルムにイメージを定着させるのではなく、フィルムに直接、色を塗ったり、線を描いたりして、即興的に映像制作を楽しむことがでる手法です。

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▲左の写真はキネカリに使用する映画用16ミリフィルムです。透明な「素抜けフィルム」、撮影・現像した「画付きフィルム」、何も撮影せずに現像した「黒味フィルム」の3種類。右はフィルムに描くための道具。インクやペン、ニードル(針)、スクレーパー(刃)などを用意しました。 

ワークショップ冒頭から、いきなり制作がスタートしました。
石田さんは、難しい説明は抜きに、いくつかのヒントだけを参加者の皆さんに伝えます。


・フィルムの横にあいている穴は「パーフォレーション」と言う。
・パーフォレーションの間が1コマ。1秒の映像をつくるには24コマ(約18センチ)必要。
・パーフォレーションはフィルムが映写機を通るために必要な穴なので壊さないこと。

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ここでの制作に使うのは、一人1メートルの「素抜けフィルム」と「カラーペン」。
皆さん、16ミリフィルムに初めて触れるということで、おそるおそる自分のイニシャルから描きはじめます。これで本当に映像になるのかな...

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20分ほどで描画タイムは終了。

今回のワークショップで大活躍してくださったアシスタント、多摩美術大学映像演劇学科 副手の
川本さんと平さん、そして学生の松川さんの3人がスプライサーという道具で皆さんのフィルムを手早く繋いで、映写機にセッティングしてくれました。

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部屋を暗くして、いざ上映スタート!
映写機がガラガラと動きはじめると、色鮮やかな線や形がリズミカルに映し出され、皆さんから「わぁ」と声があがりました。一人の映像は5~6秒、全員あわせても1分ちょっとの一瞬の映像でしたが、それでも描いたイメージが動きだす喜びを充分に感じとることができました。

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そして、ここから石田さんによる映像・映画史講義が始まりました。
当館が所蔵する16ミリフィルムのコレクションの中から、リュミエール兄弟による世界ではじめての映画や、キネカリで制作されたノーマン・マクラレンによる《線と色の即興詩》(1955)など、いくつかの作品を鑑賞しながら、映像の原理や歴史、また作家達のさまざまな試みについて学びました。

理解が深まったところで、2回目フィルムづくりの時間へ。
次は、画付きや黒味のフィルムも使用し、描画する道具も自分のつくりたいイメージに合わせて各自が選択します。

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▲(左)線香で表面を焼いたり、穴を開けたり。(中)工芸用のルーターも使えます。
(右)スクレーパーで黒味フィルムを引っ掻くと膜が剥がれていきます。
キネカリはアイデアしだいで、身のまわりの様々な物を用いることができるようです。

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皆さん、フィルムの扱いにもすっかり慣れてきた様子。そして石田さんも制作に加わることで、アトリエ内はほどよい緊張感に包まれ、集中力アップ。制作は1時間近く続き...                                                                                                   
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できあがりました。フィルムそのものだけでも美しいです。
最初につくったフィルムも繋げて、このワークショップで一本の映画が完成しました!

上映は閉館後の美術館グランドギャラリーで行いました。
開館中、石田さんの作品《海の壁-生成する庭》が上映されているスクリーンを借りての上映会。
完成した映画は、より工夫を凝らした映像が加わり、3分を超える作品となっていました。
途中からプロジェクターも使い、石田さんの映像作品が重なるように投影されて、コラボレーション上映も。

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また、参加者の皆さんも映写機とスクリーンの間に入ってみることになりました。映像の中に自分の影が映り込むと同時に、自分もスクリーンになるちょっと不思議な体験。自由に手を動かしたりしています。

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そして最後に、石田さんとアシスタントの川本さんが2人で重い映写機を持ち上げて、グランドギャラリーの吹き抜けになっている天井にむかって投射しはじめました。

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四角いスクリーンを飛びだした映像は、天井の形に沿って変形し、大きく広がりました。闇の中に次々に放たれる線や色彩の光を皆で見上げながら上映会は終了。
「映像の光」の魅力、そして楽しさを体感したワークショップとなりました。

(市民のアトリエ担当)

[石田尚志「渦まく光」展 関連ワークショップ「映像の光」  実施 2015/05/02 土曜 全1回]