石田尚志展 スタッフコラムvol.7 上映&トーク「石田尚志 上映個展」レポート

「石田尚志 渦まく光」展が開幕してはや3週間。展覧会は、学生の方、親子連れの方、さらには海外からのお客様にも恵まれ、日々たくさんの方に石田作品の魅力をご紹介できているのではと思っております。

今回のコラムを担当するのは、展覧会担当学芸員の大澤紗蓉子です。これまで、このコラムでは編集やアップ作業などを、ひっそりと行なっていました。

4月19日(日)、石田展関連イベント「石田尚志上映個展」が開催されました。会場になった横浜美術館レクチャーホールは、石田さんが当館で滞在制作を行う前に、映像作家仲間と企画した上映会「映像前夜」(2000)を開催した馴染み深い場所です。今回のイベントでは、石田さんと担当学芸員松永によるトークにあわせて、展覧会に出品していない作品や、石田さん秘蔵の映像などが上映されました。

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当日は、事前に用意した幾つかの作品の中から、話の展開にあわせてVJのようにその場で作品が選ばれていったため、上映会ながらも臨場感あふれるイベントになりました。そのため、ご参加の方に上映プログラムをお配りすることができませんでしたので、作品の紹介とあわせて、こちらのコラムに記載いたします。(以下、上映順です)

《海の映画》2007年、ビデオ(サウンド)/10
展覧会未出品。石田さんと松永の初めての仕事となった、当館の公開制作プログラム「AIMY(Artist in Museum, Yokohama)」で生まれた作品。音楽は、石田さんの親友であり、ドイツを拠点に活動する音楽家の足立智美さんが担当。「水」をテーマに制作された作品だけあり、映像の中で流れる映写機の回転する音は、水の音を加工して作られたサウンド(!)とのこと。

《絵巻》1995年、ビデオ(8mmフィルムから変換、サウンド)/510
石田さんが初めて完成させたドローイング・アニメーション作品。展示室ではモニターで上映されていますが、「大画面で見たい!」という石田さんの希望からスクリーン上映しました。

《闇の絵巻》1997年、ビデオ(サウンド)/7
展覧会未出品。《フーガの技法》が生まれるきっかけとなった作品で、石田さん曰く「10数年ぶりに上映した」とのこと。この作品で描かれた絵の一部は加工され、《フーガの技法》で再び使われています。音楽は石田さんの弟、匡志さんが高校生のころに映像に合わせて即興演奏したシンセサイザーの楽曲。

《部屋/形態》1999年、16mmフィルム(サウンド)/7
石田さんの〈部屋〉シリーズ第一作。展示室では映像インスタレーションのように上映されていますが、もともと「映画」作品として制作されたものであるため、シアター空間(+大音量)でご覧いただきたく、展示室と同様、オリジナルの16mmフィルムで上映しました。

《スリー・レッド・ストライプス》2005年、ビデオ(サウンド)/150
展覧会未出品。《海の映画》の音楽を担当した足立智美さんと石田さんの共同制作作品。ウィーンで開催された二人の展覧会のために現地制作されたもの。足立さんのボイスパフォーマンスと石田さんの線描が重なりあう作品。

《三つの海辺から》2005年、ビデオ(サウンド)/320
展覧会未出品。石田さんが沖縄を旅した際に制作した習作。この作品の翌年、石田さんは横浜美術館で「水」をテーマに《海の壁》、《海の映画》を制作。それまで「水」をテーマに作品制作をしたことはなかったと述べていた石田さんでしたが、今回の展覧会準備中に突然この作品が浮上。はからずも《海の壁》を予兆する作品が制作されていたのでした。

「国立新美術館でのパフォーマンス記録映像」2010年、ビデオ(サウンド)
展覧会未出品。2010年4月10日、国立新美術館での企画展「アーティスト・ファイル2010」の関連イベントとして開催されたアーティストトークで、石田さんが突如行ったパフォーマンスの記録映像。このパフォーマンスが、展覧会出品作《音楽と空間のドローイング》(2012)を制作するきっかけになったと石田さん。

そして、最後の映像について解説すると、石田さんは唐突に壇上を下りてゆき...、

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映像にあわせて突然パフォーマンスを開始。壇上の松永も、客席にいた私も、誰もがまったく予期していなかったパフォーマンスに、場内は驚きと興奮の渦に...!最後、その見事な身体表現に全員が拍手喝采。石田さんの熱気、それを目撃した参加者の熱気に包まれながら、イベントは閉幕しました。

今回のイベント、実は直前に機材トラブルが重なり、バタバタの中のスタートでした...。ですが、そんなこともむしろ後押しとなって、石田さん持ち前の「即興性」が全編にわたって炸裂するイベントになりました。終了後、「やっぱり石田さんを『上映&トーク』という枠に収めるのは無理だったね...」と松永はため息をつきつつ、その一瞬後には「でも、それでこそ石田尚志!!」と笑みを浮かべるのでした。

なお、本展カタログには、これらの上映作品を含む、石田さんのほぼ全作品を図版付で掲載しております。カタログについては、またこのコラムで詳しくご紹介したいと思います。

(大澤)