石田尚志展 スタッフコラムvol.2 石田尚志トークイベント@六本木アカデミーヒルズ レポート

去る2月23日の夜、森タワーでのトークイベント「六本木アートカレッジ・セミナー "光"を感じる~アート×サイエンス~」に、石田尚志さんが出演しました。このプログラムを主催する六本木アカデミーヒルズさんと当館との初めてのコラボレーション企画であり、これが石田展関連のパブリック・イベントの第一弾でもあります。

このトークにはもう一人、国立極地研究所でオーロラを研究する片岡龍峰さんにもご出演いただきました。二人を結ぶキーワードはずばり、今回の展覧会タイトルにもある「光」。石田さんが自身の創作活動のなかで追い続ける、視覚的あるいは精神的な意味での「光」、片岡さんが研究対象として観察し続け、その科学的メカニズムを解明しようとするオーロラという電磁波の「光」。イベントは、それぞれの仕事の内容や興味の対象についてのプレゼンテーション、続いてそれを踏まえたお二人による対談、という構成。対談における話題の拡がりは大変興味深いもので、「光」というキーワードを足がかりとしながら、主題は「明滅/波」から「動き/時間」を経て「音/音楽」、そして「隔絶/孤独」といった話へと展開し、そういったさまざまな視点が、映像作品と自然現象、あるいは芸術創作と科学的研究という二人の立ち位置の相似点/相違点を浮かび上がらせていきました。なかでも、片岡さんが自作の撮影機器でオーロラのなかに捉えた連続する波状の動態は、片岡さんが「北斎」と名付けた現象とのことで、その「渦まく光」の描くダイナミズムに、石田さん(実は無類の北斎好き)も深く関心を抱いていたようでした。

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左:ご自身の活動について話す石田さん     右:オーロラについて解説する片岡さん

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対談中の石田さんと片岡さん、スクリーンにはオーロラの波動現象「北斎」の映像

ちなみにこの森タワー49階のトーク会場、扇状に広がる客席の背後に東京のパノラマ夜景を臨むという、贅沢この上ないスペースです。スクリーンに映し出されたオーロラの映像を説明していた片岡さんが、観客席の後ろのほうを見て不意に「うぁ」と声を上げた一幕。なにかと思って皆が振り返ると、客席背後の大きな窓に映りこんだオーロラの映像パノラマ。都心の上空にオーロラが舞い降りる空想的なヴィジョンを、こんなところで創り出してしまったという訳です(東京で観測されたことは実際にあったらしいのですが)。

「アート×サイエンス」という今回のイベントタイトルにもあるように、この二つの分野はとかく対極的に位置づけられがちですが、お二人がやっていることは実は意外に近いのかもしれない、とも思えます。両者のベースにあるのは、日常の隙間、あるいはその向こう側にある、まだ見えていないヴィジョン、定かならぬ領域に向けた探究精神。その探求において問われる能力は、対象への執着心、アタックし続ける気力、体力、そして反復力でしょう。トーク終了後、石田さんに以前インタビューした際に、石田さんの幼い頃の将来の夢が「画家」か「博士」のどちらかになることだったと言っていたことを思い出しました。「つまり何かに打ち込むこと、没頭し続けることへの憧れです」、と。

最後に、この異色のカップリングを企画・実現してくださった、アカデミーヒルズの熊田ふみ子さんに、この場を借りてあらためて感謝申し上げます。また、素敵なコラボレーションの機会のあることを!

(松永)