石田尚志展 スタッフコラムvol.5 「渦まく光」展潜入レポートno.3

「渦まく光」展手伝いの祢津です。

今日は展示準備中の横浜美術館をレポートします。

休館中の美術館グランドギャラリー。そこに建つのは三枚の「壁」。これだけで、作品名がわかる方もおられるのではないでしょうか。

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展示室の入り口には、前回開催の「ホイッスラー展」の装飾がまだ生々しく残っています。しかし、ざわめきが聞こえる奥へ進むと......そこには続々と石田尚志作品が置かれ、展覧会の輪郭が見えはじめていました。

石田さん、担当学芸員の松永さんと大澤さんはじめ、いろいろな人が集まっています。原画やスクリーンの位置を数センチ単位で調整し、もっとも緊張感のある配置を模索していきます。床には壁にかけられるのを待っている、おびただしい数のドローイング・アニメーション作品《フーガの技法》の原画。

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作家、学芸員、展示作業員の方、職人さん、そこにいる全員が、黙々とそれぞれの作業にあたっています。僕はそのなかの幾人かの方々に、話をきくことができました。

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展示スペースの一角には、白い小部屋の形をしたセットが建造され、部屋の内部に描かれたアニメーションの映像と対置されていました。インスタレーション作品《白い部屋》です。その部屋のセットの前に座り、無数のレバーを操作しながら、セットを照らす照明を調光し続けている方がいました。

......山本圭太さん。照明技術を駆使する作家であり、《白い部屋》の照明デザインを撮影から展示まで一貫して担当しています。この作品のなかの「部屋」は映像の素材でもあるし、それ自体が作品の一部でもある。そして筆跡の厚みを持ったキャンバスでもある。

そのそれぞれの性質を照明で表現したいと、山本さんは僕に話しました。空間/映像/筆跡といった石田作品の重要なテーマを、山本さんは照明の変化で語ろうとしていました。

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展示室のなかをつぶさに見てまわりながら、メモをとりつづけている人がいました。

......玉那覇英人さん。はるばる沖縄からやってきた、沖縄県立博物館・美術館の担当学芸員です(「渦まく光」展は両美術館の共同開催であり、横浜のあとは沖縄へ巡回します)。

昨年学芸員になられたばかりという玉那覇さんは、石田さんの作品に目を凝らしながら、横浜美術館とは異なる沖縄県立博物館・美術館の空間に、作品をどう置いてゆくのか思いをめぐらせていました。彼はノートに手描きした沖縄県立博物館・美術館の平面図を指差しながら、僕に展示プランのアイデアを聞かせてくれました。

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入り口近くの暗いブースの中に、石田さんがいました。ブースには、僕がはじめて見る、複数のオブジェと映像を使った新作がありました。その作品の詳細を書くことはできません。なぜなら......まだそれは「制作中」だったからです。

オブジェと映像の組み合わせを、石田さんはひたすら試行錯誤していました。

とても、楽しそうに。

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それぞれの人の戦いが折り重なりながら、「渦まく光」展はオープンへ向かいます。

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(袮津)