上田市立美術館、来年秋オープン!

―“種まき”の仕事を準備中ですー

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ただ今、子どものアトリエでは長野県上田市から市の職員、瀬川智恵さんが(上 写真右)研修に来ています。瀬川さんは来秋上田市にオープンする「上田市交流文化芸術センター」とともに設置される「上田市立美術館」の開館準備の担当者。ここ横浜美術館の教育普及グループでスタッフと一緒にワークショップの体験をしながら、「教育普及の目的は何か」という根っこの部分から、「洗濯機は必要ですか?」「どんな筆を使っていますか?」など実際に使っている備品や道具に至るまで、毎日いろいろなことを調査中です。

今回は瀬川さんにいろいろお話を伺ってみました。

Q子アト:
 来年の秋オープンということですが、どんな特色を持つ美術館がつくられるのですか。

A瀬川さん:
 まず特徴的なのは「人」を育て、「文化」を育て、「まち」を育てる新たな拠点として、演奏会や演劇などが行えるホールと美術館がつくられるところです。立地は上田駅から徒歩10分、近くには真田幸村のお城、上田城や大きな商業施設があり、観光やショッピング等でいろいろな人が集まるところです。美術館は、常設と企画の展示室のほかに市民の皆さんが使えるアトリエ・ギャラリーと、子どもたちのための「子どもアトリエ」を設け、教育普及活動にも力を入れていきたいと考えています。見るだけでなく、参加型、体験型のプログラムをたくさん用意していきたいです。

Q子アト:
 「子どもアトリエ」ではどんなプログラムが行われる予定ですか。

A瀬川さん:
 大きくは学校向けのプログラム、個人利用のプログラム(長期・短期・単発の教室など)、先生に対する研修事業、作品展、鑑賞プログラム・・など予定しています。未来の上田を担う子どもたちを育てていくために、どんな活動ができるか。具体的な内容はこれから詰めていく段階ですが、根底には「育成」というキーワードがあります。上田市ゆかりの※山本鼎(やまもと かなえ)は「児童自由画教育」を提唱し、子どもたちの感銘する力、表現する力、創造する力を引き出す美術教育が大切だと説きました。子どもアトリエでは、鼎の提唱に立ち返って、子どもたちの感銘する力、表現する力、創造する力を実践していくことができたらと考えています。

子アト:
 おおっ!盛りだくさん。子アトに通じる所が多いですね。私たちも色々な事業をやっていますが、美術を通して自立する心や力を育むという目的が根っこの部分です。どんなプログラムをしても、時代が変わっても根幹が崩れないことが大切ですよね。

瀬川さん:
 上田はこれから、様々な人が関わりながらプログラムをつくっていくので、みんなで共有意識を持つことが大切になると思います。私はそれをみんなに伝える役割ですね。

Q子アト:
 2週間経ちましたが、子どものアトリエでの活動を体験してみてどうでしたか? 

A瀬川さん:
 毎日とても充実しています!とにかく子どもがいる現場が楽しいです。活動を通して子どもたちの表情、目の輝きが変わるところ、反応など、その瞬間に驚きました。準備から片付けまで実際に身体を動かしながらスタッフと一緒に体験すると、段取り、人員配置など、皆さんがどんなことに心を配っているのかが分かります。こちらではたくさんの「種」をもらっています。できるだけたくさんのことを吸収して、上田に戻ったら、その種をまいて育てるような役割をしたいですね。

Q子アト: 
 逆にイメージと違ったこと、ありましたか。

A瀬川さん:
 思っていた以上に体力勝負ですね!
それから、素材や道具などが豊富で充実しているところにも驚きました。

子アト:
 現場は毎日へとへとになりますが、振り返ると色々な発見があって面白いです。特に教育部門では素材や画材、技法、美術史について詳しいスタッフが配されていて、わからないことはお互いに聞いて、参考にしあっています。

Q子アト:
 それでは、最後にオープンに向けて意気込みをお願いします!

A瀬川さん:
 もうやるしかないですよね・・・子アト、横浜美術館の皆さんに親戚ができたなって思ってもらえるように、成長した姿が見せられるようにがんばります。

子アト:
 姉妹館じゃないですけれど、お互いに情報交換したり刺激しあったり、今後そんな交流ができたらいいですね。ありがとうございました。

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今回、色々お話を伺っている中で、瀬川さんの目がキラキラとしているのがとても印象的でした。
きっと瀬川さんの頭の中は、色々な企画が夢のようにひろがったり、また立ち消えたり、プランが練られているのでしょう。子アトや、美術館での体験で感じたことや気づいたことが上田でどのように展開されていくのか楽しみですね。


※山本鼎(やまもと かなえ)ってどんな人?
洋画家・版画家。自由画教育、農民美術運動の提唱者。
明治~大正時代の児童美術教育は、教科書のお手本をいかに忠実にまねして描くことで、(臨画 りんが)成績が決まっていました。鼎はそのことに疑問を感じ、自由主義などという言葉もない時代に自由画教育を唱え、その運動は全国的に広まりました。

横浜美術館には、明治~昭和に至る図工の教科書のコレクション「中村文庫」があり、その中には自由画運動の頃の資料もあります。
※中村文庫についてはこちらから→
http://www.yaf.or.jp/yma/arts_sellection/selection/nakamura_jido/tehon_01.html

※上田市交流文化芸術センター、上田市立美術館についてはこちらから→
http://www.city.ueda.nagano.jp/hp/sys/20091029132459638.htmlプレイベントも行われています。

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