「お届けこあと」in KCMC(神奈川県立こども医療センター)

―みんなが笑ってくれると、わたしたちも嬉しい!―

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お湯の入った袋の上にのせてゆすってあげるとみるみる笑顔に。

子どものアトリエでは、日ごろアトリエに来ることができない子どもたちのところへ行ってワークショップをする「お届けこあと」を年に数回行っています。 さる8月29日、子どものアトリエは横浜美術館内でチームを組み、神奈川県立こども医療センター(KCMC)に出張しました。今回うかがったのはこの病院の中にある重い障がいをもつ子どもたちのためのお部屋です。施設長のお医者さん、課長さん、医療スタッフのみなさんと打ち合わせをし「いつもと違う体験」というテーマで内容を考えました。

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▲食事をしたりゲームをしたりするいつもの場所が、なにやら違う雰囲気に。子どもたちもなんとなく気配を察している様子です。

子どものアトリエでは「学校のためのプログラム」の中で、重い障がいのため自分では動けない子どもたちにとって”どんなことが心に響くきっかけになるのだろう?”と、介助する人と一緒に楽しめる活動を試行してきました。今回はその中から「色水袋」「新聞プール」など定番となっているプログラムと、新たにアーティストの伊東純子さん  と一緒に考えたカラフルなビーズクッション、鉄の彫刻家、原田和男さんの鉄でつくられた音のする作品「シデロ・イホス」などをセンターに運び込みました。いつもと違う体験が”心が動く”きっかけになってほしいと願いながら日ごろの生活スペースをちょっとだけ非日常の空間に変身させました。

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上の写真は新聞プールです。入っている のは高校生のはづき君(左)と小学生の男の子。新聞紙はもぐると暖かく、振りまいてもいいし、破く音もおもしろい素材です。まわりで見守っていた人たちも一緒になって素材の感触を楽しんでいました。

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▲鉄の音具「シデロ・イホス」とは、「鉄の響き」という意味のギリシャ語です。そっとたたいて響きを確かめる”はづき君”。うしろのお友だちに聞こえるかな?

この日センターには研修生の人もたくさんいて、小さい子どもたちはだっこされていろいろな素材をめぐりました。自分の意志をうまく伝えられない子どもたちには、関わり方がこちらの思い込みや一方的な押しつけにならないように気を付けています。医療スタッフや研修生のみなさんは子どもたちの表情に注意を払いながら、「楽しい」「気もちよい」「不快」「不思議だ」「初めて出会った」という感情を優しく受け止めていました。

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▲子どものアトリエの色水袋には、お湯が入っています。色は優しい色合いにしました。男の子をのせてゆすってあげると、みるみる笑顔に。スタッフも大喜びです。

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子どもたちにはそれぞれに好きな感覚、苦手な感覚があります。笑ってくれたり、手を強く握り返してくれると、まるで宝物が見つかったような気持ちがしてこちらも嬉しく元気になります。見た目には表情に変化が少ない子でも、ドクターには心拍数や体の微細な動きで心の状態がわかるそうです。「○○ちゃんは今とってもリラックスしてますよ。」と教えてもらうと、その子の心の中にある”思い”が確かに感じ取れます。広い部屋に名前を呼びかける声が飛び交い、笑い声が響き、気が付くと予定の時間を過ぎてしまいそうになっていました。周りを見渡すとドクターも看護師さんも、研修生も美術館のスタッフも夢中になって子どもたちとの”対話”を楽しんでいました。時間が経つのも忘れるくらい濃厚な、”対話”の時間でした。さて、子どもたちはどうだったかなあ。「いつもとちょっと違うな」って思っていてくれたかな?

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▲カラフルなビーズクッションの中身は発砲ビーズ。ふんわり包まれて気持ちよさそう。すやすやと眠ってしまう子もいます。

子どものアトリエは、このあと内科系の入院病棟にもおじゃまし、子どもたちと一緒に「フワフワ帽子」と「車のおもちゃ」を作りました。出来た車にひもをつけてあげると喜んで、そのひもを引っ張ってナースステーションのまわりを何周も何周もしていました。また、ていねいに、ていねいに色をぬって、できたおもちゃを嬉しそうにベットに持って帰る子どもたちもいました。良くなったら、今度は子どものアトリエに来てね。またみんなの笑顔に会える日を楽しみにしているよ。

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★この「お届けこあと」という出張プログラムは、横浜美術館の企業連携プログラム「Heart to Art」の一環で横浜信用金庫さんのご協力により実現いたしました。ご協賛ありがとうございました。
★※Heart to Artについてはこちらから→http://http://www.yaf.or.jp/yma/hta/010_heart_to_art/