ナイクサタムさんのタペストリー

―大きな手と握手したよ―

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水平線上―夏の青 1992年作
綿、羊毛、ゴブラン織り
250.0×310.0cm

この作品は今、横浜美術館のコレクション展に展示されている大きな作品です。
子どもたちに見せると、「海の上にいるみたい」、「風が吹いている」、「青がきれい」など思い思いの言葉が出てくる親しみやすい作品です。一見絵のように見えますが、絵の具ではなく、たて糸に横糸を織り込んで絵柄を表してあります。「織る」ということがまだわからない子どもたちには「糸を組み合わせてつくってあるんだよ」と説明すると「えー、うっそー!」と大きく目を見開き、織り目を認めるや否や、「ほんとだー!絨毯みたい」。。。大発見です。
この織物は「つづれ織り」、あるいは「ゴブラン織り」と呼ばれる手法で織られており、室内を飾る壁掛けとして昔から作られていました。フランス語ではタピスリー、英語ではタペストリーと呼ばれています。今ちょうどパリのクリュニー中世美術館が所蔵する有名な「貴婦人と一角獣」というタペストリーが国立新美術館で展示されていますね。みにいかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。(※この展覧会は、2013年7月15日に終了しています。)
横浜美術館所蔵の、上のタペストリーの作者は、プラブハカール・ナイクサタムさん。「市民のアトリエ」の講座のために先月4月27日、横浜美術館にいらっしゃいました。その様子はこちら→市アト通信ヨコビブログ


織物デザイナーであるナイクサタムさんは、心の中のイメージをどうやって絵にしていくかを話してくださいました。
例えばこの作品は、「海と空と凧」のイメージからつくらてたそうです。「凧」ときいてなるほどと思いました。風を感じた子どもの直観は鋭かった。まずものをよく観察して、そのイメージをもとに線や色を自由に構成し、楽しみながら絵柄を考えていくそうです。
もう1点、となりに展示されている作品をお見せしましょう。この作品は「高原を空から見たら?」とイメージしたものだそうです。

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高地の早春 1993年作
綿、羊毛、ゴブラン織り
250.0×310.0cm

下の写真のように最初は小さなデザイン画を考えるそうです。絵柄が決まったらマス目をひいて大きく拡大します。織物は途中で変更ができないので、最初の段階でよくプランを練らなければならないとおっしゃっていました。

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もとになった原画。完成時の10分の1くらいのサイズだそうです。

ナイクサタムさんは毛糸の色も、たとえば青でも何種類もの青を用意し、細かく組み合わせて微妙な変化を表します。一緒にいらっしゃった奥さんが「色を表すことにはこだわりがあって本当に気の遠くなるほどたくさんの作業をしています。」と話してくださいました。

1929年、インドのお生まれで現在84歳のナイクサタムさん。子どもたちのためにメッセージをとお願いしたら、快く引き受けてくださいました。

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大きな手には年輪を感じさせる風格がありました。

To the children
I like children and I like nature very much.
If every child loves the nature he can be an appreciator of this universe when he/she becomes a very matured person.

Prabhakar NAIK-SATAM

子どもたちへ
わたしはこどもたちが大好きです。そして自然も大好きです。
もし、子どもたちのだれもが自然を愛するならば、その子は森羅万象(宇宙に存在する数限りないもの)
を味わうことのできる身も心も豊かな人に成長するでしょう。

プラブハカール・ナイクサタム


最後にナイクサタムさんに握手してもらいました。毎日12時間作品をつくっているというその手は大きくてあったかでした。”サタムさん”のタペストリー、 是非みにきてくださいね!(2013年6月16日まで展示しております。木曜日は休館です。)

リンク先⇒同時開催企画展「Welcome to the jungle!熱々東南アジアの現代美術」