子どものアトリエビーズクッション

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―妙(みょう)に楽しい作業でした―


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▲できたてのクッションでくつろぐ“いとじゅん”さん


手作り遊具のエピソードをひとつ。少し前の話になりますが、2009年春に横浜美術館で開催された金氏徹平さんの展覧会「金氏徹平:溶け出す都市、空白の森」をおぼえていらっしゃいますか?

その展示が終了した際、部材として役目を終えた大量の発泡ビーズが子どものアトリエへ教材用にとプレゼントされました。スタッフは、それを使って子どもがはねてもやぶれない丈夫で大きなクッションを作ろうと計画。早速試作づくりを開始しました。しかし…、作っても、作ってもうまくいきません。布が伸びず、座っても体が埋まるだけ。試しに子どもたちに遊んでもらっても、いま一つ盛り上がらない様子。「やっぱり無理かなぁ。」とあきらめかけた時、服をテーマとしたアートパフォーマンスや展示を行っている黄金町のアーティスト、伊東純子さん(通称いとじゅんさん)の顔が浮かびました。

早速、いとじゅんさんに相談してみたところ「面白そうだからやってみましょう!」ということになり、アトリエスタッフといとじゅんさんとのコラボレーションが始まりました。

まず最初にデザインを考えました。

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コンセプトは子どものアトリエにやって来る重度心身障がいの子どもたちのために、目や触覚で楽しめるよう、カラフルで柔らかいかたちにしようと考えました。また、発泡ビーズが飛び出さないよう中袋と外カバーの二重にし、洗濯もできるようファスナーをつけて着脱可能にすることにしました。専門家いとじゅんさんならではのアドバイスにより、タテにもヨコにも伸びる特殊な布地を使って、上のイラストをもとにカバーを縫ってもらいました。

さて次はいよいよ発泡ビーズの注入です。ご存知のように発泡ビーズは静電気のために扱いが非常に難しい素材。予測通り、この作業が一番難関となりました。


最初に紙で漏斗をつくり発泡ビーズを中袋に入れようとしましたが、隙間から漏れてしまいあえなく断念。発泡ビーズは床や体にまとわりついてやりづらい作業でした。
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次に試したのは写真のように天井から発泡ビーズの袋を吊って、強制的に流し入れる方法。これは大成功!いとじゅんさん曰く、「妙に楽しい作業でした。」
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制作中の伊東純子さん。パンパンに膨れた内袋を外袋に入れるのもひと苦労。力づくでぎゅーっ!
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ファスナーをしめて、で・き・あ・が・り!
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2012年3月吉日、試行錯誤の末、念願のビーズクッションが完成しました!金氏展が終わってから3年、いとじゅんさんとのコラボレーションにより、ついに思い通りのフワフワのクッションとなりました。
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後日談(その1)ビーズクッションの発端となった金氏徹平さんが今年の6月17日、美術館を訪れた際子どものアトリエにも立ち寄ってくださいました。ビーズクッションをみせると、「きれいだね~」とほめてくださいました。美術館で再びよみがえったビーズにびっくり!のご様子でした。 http://www.yaf.or.jp/yma/karigakoi/

後日談(その2)現在、すでにいくつかの養護学校の子どもたちがビーズクッションの感触を楽しんでいます。カラフルな色に刺激され、飛び込んだり、抱きしめたり、たった3個では足りない感じ。嬉しかったのは座りごこちの反応がすこぶる良く、先生や保護者の方に「学校や家にも欲しい」、「どうやったら入手できるのか」という問い合わせでした。この手ごたえをもとに、子どものアトリエでは毎年少しずつ手作りのクッションを増やしていきたいと考えています。ちなみに次はストライプ柄かな?

さて、いとじゅんさんこと伊東純子さんのような、ユニークなアーティストが集う横浜の黄金町エリアは、毎年秋に「黄金町バザール」というイベントを開催しています。今年はもう後半になってしまいましたが、12/16まで開催。 
詳細はこちら→http://www.koganecho.net/
伊東純子さんのHP→http://www.un-ten.com/