子どものアトリエの思い出

ー「あれは現実だったんですね。」ー

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インターン生のよしもとさん

子どものアトリエのインターン生の一人、よしもとさんは現在大学3年生。大学では経営学や商業学を学んでいる学生さんです。よしもとさんは地域の塾で子どもたちに勉強を教える手伝いをしながらたくさんの子どもたちと触れ合ううちに、「子どもはうまく言葉にできなくとも、自分の意志や感情を何らかのかたちで発している」ということに気付きました。そしてとりわけ子どもの心理に興味がわき、自分が幼稚園のころ先生と一緒に参加した子どものアトリエを思い出しインターンに応募してくれました。

以下、よしもとさんとの会話です。
スタッフ:「いつごろ来たんですか?」
よしもとさん:「年中か年長(4~5歳)の時なので1996年頃だったと思います。」
スタッフ:「じゃ活動記録探してみましょう。どんな活動をしたか覚えてる?」
よしもとさん:「たしか大きな紙をたくさん切りました。」
スタッフ:「あった。あった○○幼稚園。ほんとうだ。紙のテープをたくさん切ってホチキスでつなぐ活動をしていますね。この女の子、背中に「さくら(組) よしもと」って書いてあるけど、これよしもとさん?髪の毛“おさげ”だったんだ!
よしもとさん:「わー、これ私です!先生もいる!○○ちゃんもいる!なつかし~い!」

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先生に紙をくばってもらっているところ

部屋中にひろがって、テープに切って・・・

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順番にもぐって遊びました

あそんだあとは、ひたすらつなぐ作業に没頭

よしもとさん:「それと、暗い中で何か光っているような不思議な記憶も残っているのですが…。ただそれが夢だったのか現実だったのよくわかりません。」

さいわい、子どものアトリエにはよしもとさんの記憶を裏付ける記録写真が残っていました。子どもたちはあおむけに寝ころがって蜘蛛の巣のように張り巡らされた空間を眺めています。

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この中に、よしもとさんもいたんですね。

以下、よしもとさんの感想です。
真っ暗で大きな天井から吊らされたピンク、黄緑、黄色、数々の蛍光色、プラネタリウムのような世界。子どものアトリエと聞いて真っ先に思い浮かべる情景です。園行事で始めてアトリエを訪れ、みんなで団子の様に並んで寝転び見上げた天井の大きさや、普段の何倍ものスケールで行う図工の時間は、非常に不思議な体験でした。嬉しかったのは、それが今も変わらないこと。インターンとしてアトリエに来て目にしたのは、以前と変わらず、大空間で非日常の世界を楽しむ子どもたちの様子でした。私がインターンに応募をしたのは、子どもの素直な感情表現に触れたかったからです。今まで様々な環境で、言葉の飾り方や戦略めいた論述法を学んできました。でもやはり、「嬉しい!楽しい!」というそのままの顔、単純でも本人の率直な感想が一番心に染みるなと思います。

子どものアトリエも、みずから物ごとに関わり、自分の“身”と“心”を通してつかんだ感覚や言葉が、よしもとさんのいう「一番心に染みる」真実のものだと考えます。ですから子どもたちには、いろいろな経験をし、血の通った「言葉」をたくさん蓄積して、自分の言葉でものを考える人になって欲しいと願っています。
よしもとさん、美術館での記憶を大切にしていてくれて、ありがとう。



※子どものアトリエは人材育成の一環として、将来「子ども」や「福祉」「教育」「美術館」などに関わる仕事につきたいと考えている人に対し、現場での体験を通し考察をしてもらうという目的で、1年間の「インターン制度」を実施しています。募集の時期は4月後半、横浜美術館HPで公募します。